四八 黄泉路


 アリイルスチュアール
 一九二七

(房中寒くむなしくて
灯は消え月は出でざるに
大なる恐怖クフの声なして
いま起ちたるはそも何ぞ!……
わが知るもののたましひ
何とてなれは来りしや?)
   (君は云へりき わが待たば
    君も必ず来らんと……)
(愛しきされど愚かしき
遙けくなれの死しけるを
亡きと生けるはもろ共に
行き交ふことの許されね
いざはやなれはくらやみに
われは愛にぞ行くべかり)
   (ゆふべはまことしかるらん
    今宵はしかくあらぬなり)
(とは云へなれは何をもて
ひととわれとをさまたぐる
そのひとまことそのむかし
がありしごと愛しきに
しかも汝はいま亡きものを!)
   (しかも汝とていまは亡し)



青空文庫より引用